「パーソン・センタード・ケア」は、1980年代末に英国の心理学者トム・キッドウッド氏によって提唱されました パーソン・センタード・ケアが提唱される前の英国では、認知症高齢者は「何もわからない人」「奇妙な行動をする人」と考えられていました 相手の立場や想いを考えることもなく、時間になればオムツの交換をし、施設のスケジュールで入浴介助を行うといった、流れ作業のような介護が行われていました 当時、トム・キッドウッド氏は自ら施設に出向き、そこにいる認知症の高齢者を膨大な時間をかけて観察しました そして、人を物のように扱ったり見下したりする風土を、施設全体で変える必要があると考えました また、その人の生活歴や習慣、趣味や性格などの背景に着目し支援することで、悪化しているように見える認知症の状態も改善できるかもしれないと考えたのです この考え方が、"その人、一人ひとりの視点や立場にたって理解しながらケアを行う" パーソン・センタード・ケアの誕生につながりました